ここにそれぞれ季節の違う三枚の写真があります。あなたが撮影したと仮定して、写真の映像から空想を巡らせてください。そして、先ほどのステップに添って俳句を付けて見ましょう。

■実践編1

step1

008_a写真の季節を見る

青空をバックにした冬の樹氷です。青空から降り落ちた氷が固まって枝に付いた印象です。

step2

注目したことがらや写真を撮ったときの印象を書き出す

008_b静ひつで、空気まで凍っている感じ。夜はもっと寒かったろう。夜に降った霜が枝に付いて結晶したのかもと、想像が広がります。

step3

季語を考える

歳時記をみると樹氷の別名には「霜の花」「木華」ともあります。

step4

008_c完成!

ここは樹氷とするより、「霜の花」を使うことにしました。


■実践編2

step1

009_a写真の季節を見る

春の水溜りにオタマジャクシがかえりました。晩春の暖かで長閑な写真です。

step2

009_b注目したことがらや写真を撮ったときの印象を書き出す

早く大きくならなくては人間の子にとらえられます。カエルになっても蛇に狙われます。いったい何匹がカエルになれるのか・・・。その想いを俳句に詠んでみます。

step3

季語を考える

歳時記にはオタマジャクシの別称に「蛙子(かえるご)」などがあります。でも、ここはわかりやすく「カエルの子」としてみます。

step4

009_c完成!

このオタマジャクシから何匹が親になれるのか・・・そんな気持ちを写真俳句にしてみました。


実践編3

step1

010_a写真の季節を見る

植物はその名を知らないと句にしにくいですが、このような写真は全体の状況が季節を表していることに気が付きましょう。

step2

010_b注目したことがらや写真を撮ったときの印象を書き出す

奥の木と手前の木とで色づきが違います。誰もいない景色。どこかに続く「道」。散り敷いた葉はシャッターを切る人、道の先に居る人の足元にもある・・・。。

step3

季語を考える

秋の季語には情景を表す「紅葉」「落葉」「秋の野」「照葉」などの季語がありました。

step4

010_c完成!

人の気配がない情景も道奥に続く道から、人が歩いた跡を思ってその情景を俳句にしてみました。

いかがでしたか? 写真俳句を作るときはこのようなステップで考えていけば作りやすくなります。 最初はむずかしく考えないで写真俳句作りに取り組んでください。

p009-2まず外に出るときはカメラを持っていきます。写真と俳句は散歩の友達です。「写真を撮ったら、その写真の思い出となるような一句を詠む」これを習慣にしましょう。

国内で撮る風景写真は、たいてい写真そのものが季節を語っています。『歳時記』をそばに置き、写真を見ながらいろんなことを思い出します。撮ったとき印象的だったこと、写真から想像したことなどとしっくりくる季語を組み合わせます。

ここで肝心なのは、「自分で撮った写真に自分で詠んだ俳句を付ける」ということ、そして「写真の整理はパソコンで行うこと」です。膨大な量の写真整理のついでと思って、写真にタイトルを付けるような気持ちで五七五を完成させましょう。

出来上がった作品は熱海写真俳句撮詠物語へ送ってください。写真も俳句も人に評価されてこそ上達しますし、やりがいも出るというものです。熱海写真俳句撮詠物語にはたくさんの写真俳句がアップされています。人の作品を観覧することもまた、上達の早道なのです。あなたも熱海写真俳句撮詠物語に参加して一緒に写真俳句を楽しみましょう。